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経営者のためのPoker入門 vol.11 一年後のゆとり

著者: 大川弘一

経営者のためのPoker入門 vol.11 一年後のゆとり

みなさまこんにゃちわ。大川です。

前回もご愛読ありがとうございました。

久々の再開であれこれと心配をしておりましたが、フタを開けたら心あたたかい皆様に支えられ「ピーちゃん最高! ラケシュ最低!」とたくさんのお言葉をいただきました。

今回も前回同様に過去に質問をいただいた方からの質問なんですが、ガチです。

いや、前回もガチなんですが、今回はその、えーと、実在する方なので、そこらへん、お含みおきください。

前回いただいたときの質問はこんな感じでした。

私は、大学生です。

私たちの世代はゆとり世代と言われ、現在の私のバイトでのあだ名はゆとりの申し子です。

お金もなく、車の免許もなく、資格もなく、単位もなく、そして夢もないです。

このまま、就活しても受かる気しません。

夢も目標もない私はこれからどうしたらよいのですか。

教えてください。

そしてその時の僕の回答がこちら。

http://www.business-plus.net/business/1408/699220.shtmlあれから1年。

今回僕の元に送られてきたコウくん(仮名)からのメールは、見違えるような力強さを放っておりました。

ご無沙汰しています。「ゆとりの申し子」とメールした居原田洸です。

昨年に将来の生き方についての質問に答えて頂きありがとうございました。

その後「アドボカシーマーケティング」について研究し現在卒業論文で「コモディティ化した企業によるアドボカシーマーケティングの活用」というテーマのもと研究を行っています。

私は「アドボカシーマーケティング」を研究し大川さんの『逆境エブリデイ』を読んで一年間毎日将来について真剣に考えました。そして考えた末に私は目先の将来の夢として『深夜特急』という本のような人と触れ合いながらポーカーで世界を旅をしたいと実感しました。そしてその後の人生はその後で決めると決めました。22歳にもなり現実離れした将来ですが、何より「面白くなるだろう」という一点で決めました。しかし世界を旅する前に働いた事が無いのは社会の面白味や現実が分からないと実感し、私は「日本」「働く」という文化が味わえる職場を探しています。

まだ未定ですが旅館やら様々な仕事を現在探しながら言語を勉強しています。

大川さんに質問に答えて頂き「アドボカシーマーケティング」とは直接関係ないですが将来やりたい事が見つかりました。3、4年は朝から晩まで働き「働く」を学び『逆境エブリデイ』と少しの荷物で世界を回ります。

報告になりましたが本当にありがとうございました。これから面白く頑張ります。

どうですか。この、たのもしさ100万倍。

ルンバのようにウロついていた彼の人生は、今やダイソンのようにギュインギュインに回り始めているようです。

ちょうど今月号のネタに困っていた僕が「コウくん(仮名)ありがとう。これ、次回の連載に使ってもいいかい?」

と申し出たところ、「返信ありがとうございます。

私も、今後の生き方や海外に行く前までの働き方に大川さんのアドバイスが頂けたら幸いです。ぜひよろしくお願いします。」

と力強いお返事をいただきましたので、謹んで活用させていただきます。

まず、卒業おめでとうございます。

大学からの卒業もさることながら、日本社会からのご卒業おめでとうございます。

コウくんも就職活動やバイトを通じてたくさんいやなことがあったと思いますが、たとえ関西屈指の私学をご卒業なさったとしても、その違和感がつきまとい続けていくのが日本社会です。ミスを許さず、集団との差を細かく見つけてダメ出しをし、互いが互いを綿密に監視を続けながら居場所を確保するような価値観は、現在極限まで緊張をしています。

これは企業に投資をする側が常に前年度以上のスコアを求めた結果であり、費用の大きな部分を占める人件費がいつも目の敵にされてきたためです。

本来であれば人間は、自分のセンスや熱意によってオリジナルのものやサービスを顧客に提供することで感謝されるという働き方があったんですが、八幡製鐵所からスタートした日本の第二次産業は100年の時間を経ても本質に変化は訪れず、自動的に教育もそれに準じたものとなり、企業活動は買収合併などの投資を繰り返しているにも関わらず、学校は労働者ばかりを育てています。

では本来必要なこととは何なのか。

コウくんも関西では有名なポーカープレイヤーのひとりだからわかると思うんですが、ひとつは期待値の考え方です。

成功確率が低くても、ポットオッズに合えば試行を繰り返すうちに収支がプラスになる。これが期待値の基本ですね。

例えば500/1000/Ante100、手持ちチップ量は21700の状況で、ブラインドヘッズからフロップが開き、フロップはK35で2800のポットに相手が1200をベットしてきたとき、コウくんの手元には2と4のスペードでフラドロができており、フロップ3枚のうちKだけが別スートだったとします。

くはー! 行くでしょ。これ。マジで。即オールインでしょ!!!

失礼しました。

現時点で、先方になんの役ができているかはわかりませんが、コウくんにはAか6がくればストレートが完成し、それ以外のスペードが来てもフラッシュができ、A6いずれかのスペードなんか来た日にはストレートフラッシュだってありえます。

しかし。

先方が1200を先に入れてきたということは、もしかしたらこの時点でAAやKのペアくらいは完成している可能性もあります。その場合、コウくんのハンドは現時点で負けとなり、それ以上に強い役を引きに行く必要が出てきます。仮に先方のハンドを赤いAAだとするとここからそれぞれの役を引ける確率はストレート        13.75%フラッシュ        27.44%ストレートフラッシュ 8.68%となり、その他の勝ち方も合算して49.3%の勝率がコウくんにはございます。

つまり、ザックリ言うと、2回に1回は勝てる勝負です。

日本の学校が教えないのはこの部分です。

英語の「risk」というのは、日本語に訳されている「リスク」とは全く違い、本来は数多く試行を繰り返すことで確率どうりの結果を得る。というニュアンスがあります。

ところが日本の場合、工場で生産される製品のエラー率をゼロに近づける正義が社会の根幹に存在するため、「リスク」という言葉はゴキブリのように嫌われて、誰もができかけの役を放棄して、オリた者同士で居酒屋であつまります。

「課長に言ってやったんだよ。」

それが日本社会における最大限のリスク行動であり、酔った勢いで引き起こすそうした

言動は、単なるストレスの解消でしかないために、往々にしてダウンサイドの結果を招いてしまいます。

何の話だっけ。

そうだ。人生でしたね。

コウくんはいま、手元にあるカードはAJoくらいだとおもいます。そしてボードはまだ開いてないんですが、ポジションはたぶんザガンです。

ものすごく強そうな奴が後ろに8人いるように見えるかもしれませんが、とりあえずゆっくりコールをしてみましょう。呼吸を整えて、カードを二度見せず、「俺のAAバレちゃだめだ。」

みたいな顔を演じましょう。

もちろん大きめのレイズが入ってきたら、すぐにオリましょう。人生は長く、楽しみ続けることが目的で、早めの勝利や戦いそのものは単なるヒマつぶしにしか過ぎません。

その上で、日本にいる間のコウくんにオススメなのは、以下の急成長企業です。

立川マシマシhttp://tabelog.com/tokyo/A1329/A132901/13173764/日本食ブームもハイエンド和食が一巡し、日本製B級グルメの存在を知った外国人はもっとエッジの効いたリアルを探し始めています。

参考資料『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』http://goo.gl/Xgephw立川マシマシはいわゆる二郎インスパイア系の店ですが、麺のかわりに豆腐を入れたり、Twitterを徹底的に活用してお客さんとキャッキャ言いながら遊んだり、僕が出資したり、9月までに5店舗の出店が決まっているところを見ると、今後数年でとても有望な日本発コンテンツに育っていくことと思います。

旅館や和食店で働くのもいいんですが、第二段階に入ってきている日本ブームにおいて誰かの後をおっかけても効率がよくありません。3年後にコウくんがポーカーツアーを開始する頃には、海外への店舗展開も十分に考えられるブランドです

から、休みの日にマカオで優勝して、それ以外の日はアジアをぐるぐる回る生活もいいかもしれません。1年で見違えるほど成長したコウくんからのメールは本当にうれしいものでした。もしよければ、今後ともよろしくお願いします。

(2015.8.19)

イラスト