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経営者のためのPoker入門 vol.4 ビジネスの質問が来ない

著者: 大川弘一

経営者のためのPoker入門 vol.4 ビジネスの質問が来ない

皆々さまこんにゃちは。大川です。

ワールドカップ、残念でしたね。

とは言え、普段からほぼテレビを見ない生活をしていますと、画面に映るすべての選手がほぼ初対面で、早い話が思い入れがありません。

それでもドログバが画面に登場した瞬間の魔力というか風格は、その後の戦況を予感させるには十分すぎる厚みがあり、そういった超人たちの気迫を一度に感じられるというのもワールドカップの素晴らしさなんちゃうの等、思ってます。

さて、今月もいくつかの質問をいただきました。

相変わらずビジネスに関する質問の気配はうぶ毛ほどもありませんが、僕がお手伝いすることで質問者さまの心持ちが少しでも軽くなれば本望です。

では最初の質問。

大川先生こんにちは。

580日後に受験を控えている小学5年生のジュンタです。

ぼくは毎日学校が終わるとそのまま塾に向かい、真っ白な教室でおおきな声の授業を受けて、ものすごいスピードでちいさなテストをたくさんこなします。

ぼくらが過ごしている日々はまぎれもなく競争で、小さな優劣を繰り返しながら「立派な大人」になるために全力を尽くしているのですが、あと少しでぼくらが勝者と敗者に分類されることもまた避けられない現実で、どちらかと言えばぼくも、友達の間でみじめな気持ちにならないためだけに努力をしているのかもしれません。

ぼくの家はお父さんが運送会社の社長をしていることもあり、こうした塾での努力よりも「愛される性格」のほうが社会的に優位だということをぼくは知っています。

塾での勉強はハイスピードでの作業でエラーを出さないトレーニングであり、もう一歩踏み込んだとしても推理力や練習量の多さを問われる程度の訓練ですから、いまの日本で最も重要視される「企業価値の向上」という正義の下では重要な立場を任されるスキルではないことも自覚しています。

そんなことを考えているうちにぼくは塾に行くのがとてもつらくなり、泣きながらお父さんに電話して相談をしたところ、お父さんは会社からの帰りにペットショップでちいさなカメを買ってきてくれて、ぼくをなぐさめてくれました。

そしてお父さんは、頭をなでながらこう言ってくれました。

「続けてきた努力が無駄だとわかったときも、1位だったらいいんだよ。

1位になれた自信があれば、どんなルールでもまたやれる」と。

ぼくは大声をあげて泣いてしまいましたが、今している毎日の我慢そのものよりも、1位になることで得た自信でなんでも乗り越えていけるんだということばに出会い、まだ何も見えない未来に強い希望が持てるようになりました。

そこで先生に質問です。

カメの名前なにがいいですかね。

(小学5年生 ジュンタ)

えっ?(°ω°)

秋葉原でケバブ屋を営むラケシュともうします。

毎日おいしいケバブをたくさん削って巻いてきましたが、つかれました。なぜなら、ケバブのおかねをFXでとかしたからです。

ラケシュ、ずっとまじめにケバブまわしてきたのに、一瞬でぱーです。ケバブいちまんこくらいいかれました。ラケシュしょんぼりです。

そこで質問です。なにかいっぱつぎゃくてんないですか。

(38歳 飲食スタンド経営)

はい。

今週も緩急つけたていねいな変化球、ありがとうございます。

一見なんの関係もない2人の質問者ですが、実は根底の部分で共通するテーマを見出すことができます。それは、「努力と結果の相関性」です。

受験勉強やスポーツなど、「ルールの定まった世界」での努力は密接に結果と結びついています。

ところがビジネスの世界では、需要こそがすべてであり、需要の質や量に応じて商品や働き方を変える必要が出てきます。

つまり、スポーツなどで有効とされる1万回の反復練習も、ビジネスの世界では「それ頼んでない」と言われてしまえばそれまでです。

受験勉強には「合格」という決められたゴールがあり、スポーツにも勝敗という明確な結果がありますが、ビジネスの世界では「前年比」という終わりのない資産価値の上昇に貢献できるかがキモであり、その中で変われない者は「旧い」のひとことで閑職に追い込まれるのが通例です。

それをふまえてジュンタくんの置かれている境遇をもう一度見てみると、彼は明確なゴールのある環境からその努力が無駄になりそうな社会を眺めています。

そしてケバブ屋のラケシュは、単調な日々の努力が無駄になった現実を受け止めることができません。

こんなとき、過去と未来の違いこそあれ、ジュンタくんのお父さんが言うように理想と現実のギャップを埋めてくれるのは常に自信です。

やればできる、やればできたという自信さえあれば、ケバブいちまんこくらいどうってことない損失なんです。製造業の流出で自信を失いつつあるこの国でも、「1位だった」という事実を自信に変えることで、新たな産業を創出してまた別の形で1位に返り咲くこともできるんです。

その点をふまえ、カメの名前は「モキチ(茂吉)」とさせていただきつつ、いっぱつぎゃくてんなんてないから、さっさと美味しいケバブを焼いてくれとご進言させていただければと思います。

さて、今月も皆様からの特殊な流れ弾、ありがとうございました。

繰り返しになりますが、【ビジネス】に関する質問をお待ちしております。

というか、「ポーカー全然関係ないやん」という声も各方面からいただいておりますので、そこらへんの事情をご理解いただけるポーカー初心者の皆様からのご質問もお待ちしております。

連載4回やって残せた結果が「カメの名付け親」ではいけません。ここはひとつ、ぐるんぐるんに捩れ切った複雑な質問を躊躇なく投げつけていただければ幸いです。

それではまた来月。

イラスト